辞書: フィネガンズ・ウェイク

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フィネガンズ・ウェイクとは

ジェイムズ・ジョイスの小説です。

読めない本

現在はパブリック・ドメインになっているので、 Webで読めます(こことか)が、 この本は読めません。先頭がこれ。

riverrun, past Eve and Adam’s, from swerve of shore to bend of bay, brings us by a commodius vicus of recirculation back to Howth Castle and Environs.

英語っぽい感じの文章ですが、読めません。

翻訳されているけど読めない

この本が面白いのは、日本語訳があることです。 特に有名なのが、柳瀬尚紀氏による翻訳。

この翻訳によれば、先頭は以下のように訳されています。

川走、イブとアダム礼盃亭を過ぎ、く寝る岸辺から輪ん曲する湾へ、今も度失せぬ巡り路を媚行し、巡り戻るは栄知四囲委蛇たるホウス城とその周円。

これだけだと分からないので、ルビを付けてみます。

川走(せんそう)、イブとアダム礼盃亭(れいはいてい)を過(す)ぎ、く寝(ね)る岸辺(きしべ)から輪(わ)ん曲(きょく)する湾(わん)へ、今(こん)も度(ど)失(う)せぬ巡(めぐ)り路(みち)を媚行(びこう)し、巡(めぐ)り戻(もど)るは栄知四囲委蛇(えいちしいいい)たるホウス城(じょう)とその周円(しゅうえん)。

全然わかりません。ただ、「riverrun」が「川走」と対応していて、「commodius」が「今も度失せぬ」のように、音も訳しているんだなとは何となくつかめます。

良いのか分からないのが良い

この通り、全く読めない本です。クォークという名称がこの本から出たらしいですが、どこに書かれているか想像もできません。良いのかどうかも分かりません。集団催眠にかかっているだけかもしれません。ただ、このようなよくわからないものを大真面目に世の中に出して、それを大真面目に翻訳する、それはとても面白いです。