辞書: ドラッカー

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ドラッカーとは

経営学者として名高い、ピーター・F・ドラッカーのことです。

正式なつづりは"Peter Ferdinand Drucker"ですが、 著書の多くは"Peter F. Drucker"とミドルネームを省略して書かれます。 日本語では"P.F.ドラッカー"という略も使われます。

名前を間違えないでくれ

たまに「ドラッガー」と書く人がいますが、 無知をさらけ出しているだけで恥ずかしいですね。

ドラッカーの著書を読んでよかったこと

異説が多い

比較的分かりやすい例だと、 一般的には「優先順位」がよく言われていますが、 ドラッカーの本ではその逆、「劣後順位」がよく言われています。

分かりにくい例だと、「日本の官僚制を理解するならば」という文があります1。 日本の官僚は「何もしない(先延ばし)」のでダメだというのが定説になっています。 しかし、ドラッカーは「何もしない」ことにより、 社会的な混乱を避けられていると指摘しています。

実際のところ、ドラッカーは「今度ばかりは先延ばしはうまくいかないだろう」 と言っているし、これが正しいかどうかは分りません。 ただ、少なくとも、辻褄は合っています。

じゃあどうするかというと、 自分なりによく考えて、消化するしかありません。

事実を述べる

例えば「断絶の時代」では、「グローバル化の時代」が述べられています。 しかし、ドラッカーはよくあるグローバリストではありません。 その後の著書「ポスト資本主義社会」では、リージョナリズム(地域主義)や、 トライバリズム(部族主義)について語られています。

これは、断絶の時代が書かれた1969年時点では、 グローバリズムしかはっきりと見えてなかったに過ぎません。 つまり、グローバル化はあくまで「事実」であって、主張ではありません。 グローバル化が避けられない事実だとしても、 それを経済のために加速させる時期なのか、 社会の安定のために減速させる時期なのか、 それは個々に判断するしかありません。

ドラッカーはいくつかの顔を持つ

ドラッカーはいくつかの顔を持ちます。 正確には、影響が大きすぎて、いくつかに分けないと入り切らないだけですが。

まず、間違いなのは、経済学者という見方です。 経済について語ることはあっても、あくまで社会の一部です。

一番多いのが、経営学者という見方です。 「マネジメントを発明した」とも言われるので、これは正しいです。 ただ、世の中の自称経営学者の中ではドラッカーの評価が低いみたいです。 「ドラッカーの言っていることは原則論なのでもっと個別化した理論が必要」 なら分からんでもないですが、無視して良いみたいな扱いしている人はダメですね。

次に多いのが、自己実現関連の大家としての見方です。 プロフェッショナルの条件がしばしば取り上げられます。 個人的にはこの分野でドラッカーを注目している人は信頼度が高いです。

最後に、社会生態学者としてのドラッカーです。 社会生態学者はドラッカーの造語で、人間が作った社会を観察して、 「すでに起こった未来」を見つけ、分析する人です。

ドラッカーの初期の著書や、イノベータの条件に、 社会生態学者としてのドラッカーが表れています。


  1. 「明日を支配するもの」付章 ↩︎

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