辞書: 国民性

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国民性とは

差別主義者が差別を正当化するときに使うものです。

大嫌いな考え方

自分は基本的にこの考え方が嫌いです。

自分の感覚で言えば、歴史や文化による違いは多少はあると思います。 制度によるものもあると思います。

ただ、国民性を持ち出す人は「●●は劣っている」「●●は優れている」という、 変えられないものとして持ち出していることがほとんどです。 それがものすごくイヤです。 だから「差別主義者が持ち出すもの」と自分は捉えています。

ドラッカーは国民性による説明を嫌っていた

ドラッカーは「国民性」による説明を徹底的に嫌っています。 その原点は「産業人の未来」p10にある次の記述からです。

国民性あるいは民族性なるものが存在することは確かである。 しかし、それは主として物事の進め方に関わる特性である。 すなわち、緩慢にか急激にか、慎重にか性急にか、感情によってか理性によってか、 丁寧に行うかさっと行うかである。

国民的な気質というものは存在する。しかしそれは意思決定の内容には関係がない。 物事を丁寧に行う人間と、さっと行う人間の、どちらが人殺しになりやすいかは分からない。

理想の人間像や行動についても、国民的あるいは民族的な違い、 伝統や感性による違いがある。これもまた往々にして国民性と呼ばれる。 しかし、この社会的理想像ほど、急速に、かつ予期せぬ形で変化するものはない。 かつてヨーロッパでは、アメリカ人が理想とする人間像は銀行家であると思われていた。

(中略)

ファシズム全体主義を国民性によるものとして理解することは、 ヒトラーの主張を認めるに等しい。必然かつ不変の国民性という概念と、 恒久的かつ不変の人種的特性という概念の間には、ほとんど差がない。 そこまでくれば、特定の国民や人種の優越性を認めたも同然である。

参考文献