辞書: 体系的廃棄

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体系的廃棄とは

古くて使えなくなった製品、使えなくなった方法などを体系的にやめる、捨てることです。

ドラッカーの著書での記述

経営者の条件 p142より

集中のための第一の原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。 そのためには自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直し、 「まだ行っていなかったとして、いまこれに手をつけるか」を問うことである。 答えが無条件のイエスでないかぎり、やめるか大幅に縮小すべきである。 もはや生産的でなくなった過去のもののために資源を投じてはならない。 第一級の資源、特に人の強みという稀少な資源を昨日の活動から引き揚げ、 明日の機会に充てなければならない。

乱気流時代の経営 No.697あたり(Kindle)

長い航海を続けてきた船は、船体に付着した貝を洗い落とす。 さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。

長い間凪いだ海を航行してきた企業や公的サービス機関も、 資源ばかり食う製品やサービスや事業を洗い落とす必要がある。 すでに昨日のものとなった製品、サービス、事業を洗い落とさなければならない。

あらゆる組織が、このような廃棄を計画的に行っていく必要がある。 とくに乱気流の時代においてこのことがいえる。

あらゆる製品、内向け外向けのあらゆるサービス、あらゆるプロセス、あらゆる活動が、 数年ごとに「まだ手がけていないと仮定して、その後明らかになった新しい知見をもってしても、 手をつけることが得策と考えるか」という問いをもって裁かれなければならない。

もし答えが「ノー」であれば、「調べてみよう」とはいわずに、 「どうすれば手を引けるか。あるいは、どうすれば少なくともこれ以上資源を投入せずにすむか」を問わなければならない。

ドラッカーがよく言う体系的廃棄の説明。重要なのはゼロベースで考えること。 すでに存在するサービスという現状を起点にしてはいけない。

ただし、必ずしも廃棄が答えとは限らない。

イノベーションと企業家精神 No.2276あたり(Kindle)

既存のものの廃棄が答えでないこともある。廃棄が不可能なこともある。 しかしそのようなことでも、少なくともそれ以上の労力はかけないようにしなければならない。 人材と資金という生産資源を、すでに過去となってしまったものに投じてはならない。

組織が順調なときに行なう

乱気流時代の経営 No.708あたり(Kindle)

実は、この問いを発し、その答えに基づいて行動すべきは、 組織が苦境に立ったときではない。順調なときである。

なぜなら順調なときにこそ、資源を、昨日に、すでに成果を生み出してしまったものに、 すでに挑戦してしまった目標に、すでに満たしてしまったニーズに振り向けているからである。

参考文献