レビュー: 思想家ドラッカーを読む

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なぜこの本を読もうと思ったのか

もちろん自分がドラッカー好きというのもありますが、 「思想家」として書かれている点が気になったからです。

自分はドラッカーが自称するように、 社会生態学者として見ているのですが、 その点を中心として語られた本はこれまで見たことありませんでした。 (「まとめて」なら、「イノベーターの条件」が該当します)

本質を捉えている

1日でスラスラと読み終えましたが、 自分から見て、違和感がある記述はありませんでした。 著者はむしろこれまでドラッカー嫌い(食わず嫌い)だったらしいのですが、 わずか2年でこれだけ書けるのはさすがだと思いました。

傍観者の時代から

この本の面白いところは、ドラッカーの思想を主に 「傍観者の時代」から読み取っているところです。 もちろん初期作の 『「経済人」の終わり』、「産業人の未来」の 言及が多いのは予想通りでしたが。

誰のためのマネジメントか

あとがきの「本書を書き進めていく内にはっきり分かったことは」 から始まる一文で、以下のような記述があります。

むしろ、弱くて不器用で、環境の変化になかなか適合できない、 しかし古くからある共同体に帰る道も閉ざされた諸個人が、 現代社会でどうやって生きていったらいいか、と考える中で、 企業を媒介共同体として捉えるドラッカー独自の「マネジメント」 観が生まれてきたのではないか。彼にとって「マネジメント」とは、 効率的な組織を作り運営することよりも、 そのままではなかなか個性を生かせない人たちに居場所を与え、 生き残らせるための思考戦略だったのではないか。 そういう風に思えてきた。

そうそう。

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